「退職代行って、そもそも違法じゃないの?」——使おうか迷っている人ほど、ここで足が止まります。とくに大手「モームリ」の事件が報じられてから、「今、退職代行を使って大丈夫なの?」という不安が一気に増えました。
先に結論を言うと、退職代行というサービス自体は違法ではありません。辞めること自体はあなたの権利です。ただし、業者の“やり方”によっては「非弁行為」という別の問題が出ることがあり、そこを知らずに選ぶと、利用者側が損をするおそれがあります。
この記事では、何が合法で何がグレーなのか、そして安全な業者をどう見分けるかを、できるだけやさしく整理します。
※本記事は2026年6月時点の一般的な情報提供で、弁護士による監修・個別の法的助言ではありません。事件に関する記述は報道・公表情報に基づく一般的な解説であり、具体的なケースは弁護士等の専門家にご相談ください。本ページには広告(PR)が含まれます。

結論:退職代行は違法ではない。でも「非弁行為」には注意
まず全体像です。ポイントは3つだけ。
- 辞めること自体は合法:期間の定めのない雇用なら、民法627条で「申し出から2週間」で退職できます。会社の許可は要りません。
- 「伝えるだけ」も合法:あなたの「辞めます」という意思を、代わりに会社へ伝える——ここまでなら問題になりにくいです。
- 「交渉」は資格が要る:退職日や有給、未払い賃金などを会社と“掛け合う”行為(代理交渉)は、原則として弁護士にしかできません。資格のない民間業者がこれをやると「非弁行為(弁護士法72条が禁じる行為)」にあたるおそれがあります。
つまり危ないのは「退職代行」という看板そのものではなく、“できないこと”まで請け負ってしまう業者です。
モームリ事件で何が問題になったのか(報道・容疑の段階)
2025年10月、大手「退職代行モームリ」を運営する会社が、弁護士法違反(非弁提携)の疑いで家宅捜索を受け、2026年2月には社長らが逮捕されたと報じられました。報道によると、利用者に特定の弁護士を紹介し、その見返りに紹介料を受け取っていた疑いが持たれている、とされています。
ここで誤解しないでほしいのは、「だから退職代行は全部ダメ」ではないということです。
- これはあくまで報道・容疑の段階で、事実の最終的な判断はこれからです。
- 問題視されたのは“退職を伝えること”ではなく、「非弁提携」という業界の構造的なリスクが表面化した点です。
利用者にとっての教訓はシンプルで、業者の知名度や広告ではなく「誰が・どこまでやるのか」で選ぶこと。次でその見分け方を具体化します。
「使者」と「交渉」——ここが合法とグレーの境界線
合法かどうかの分かれ目は、業者が「使者」にとどまるか、「交渉」まで踏み込むか、です。
| 立場 | やること | できること |
|---|---|---|
| 民間業者 | 退職の意思を伝える(使者) | 「辞めます」を代弁するまで |
| 労働組合 | 団体交渉として掛け合う | 退職日・有給などの交渉が可能 |
| 弁護士 | 代理人として対応 | 交渉に加え、未払い・損害賠償の請求や訴訟まで |
ざっくり言うと——民間は「伝える」だけ、労働組合は「交渉できる」、弁護士は「請求・訴訟までできる」。民間業者が「会社と交渉します」とうたっていたら、それは要注意のサインです。3タイプの違いは民間・労働組合・弁護士の違いと選び方でさらに詳しく整理しています。
安全な退職代行の見分け方5つ(チェックリスト)
不安を減らすには、依頼前に次の5点を確認すれば十分です。
- 運営元のタイプが明記されている:民間か、労働組合運営か、弁護士対応かがはっきり書いてある。
- 民間なのに“交渉”をうたっていない:交渉が必要な状況なら、最初から労働組合か弁護士を選ぶ。
- 弁護士監修、または労働組合運営である:非弁のリスクをそもそも下げられる。
- 料金と対応範囲が明確:「できること・できないこと」が書かれている業者は信頼しやすい。
- 連絡が途切れず、実績がある:着手後に連絡が取れなくなる、は最悪のパターン。避けたいところです。
逆に、料金の安さだけを前面に出し、運営元や対応範囲があいまいな業者は、いったん立ち止まったほうが安全です。
あなたのケースではどれを選ぶ?(タイプ別)
上の5点をふまえると、選ぶべきタイプは状況でほぼ決まります。
① 未払い・損害賠償など“もめそう”な不安がある → 弁護士
請求や訴訟まで対応できるのは弁護士だけ。トラブルの芽があるならここが安心です。
② 一般的な退職で、有給や退職日を交渉したい → 労働組合
団体交渉ができるので、民間より一歩踏み込めます。男性向け・女性向けで選べます。
③ どれがいいか迷う・まずLINEで相談したい → 労組連携+弁護士監修
バランス型で、はじめての人でも相談しやすいのが特徴です。
申し込みから退職完了までの流れが不安な人は、退職代行の使い方と申し込みの流れもあわせてどうぞ。
まとめ:こわいのは「退職代行」ではなく「非弁な使い方」
退職代行そのものは違法ではありません。あなたが辞める権利は、法律できちんと守られています。注意すべきは、資格がないのに“交渉”まで請け負う業者。モームリの件も、退職を伝えること自体ではなく「非弁提携」という構造が問われました。
だからこそ、選ぶときは運営元のタイプと対応範囲を確認し、必要なら労働組合か弁護士を選ぶ。これだけで、不安の大半は消えます。安心して、次の一歩へ進んでください。
よくある質問(FAQ)
Q. 退職代行を使うと、利用者が捕まることはありますか?
A. 退職の意思を伝えてもらうこと自体は、利用者が罪に問われるような行為ではありません。問題になりうるのは、資格のない業者が“交渉”まで行う「非弁行為」の側で、論点は業者側にあります。
Q. 民間の退職代行は全部ダメなのですか?
A. いいえ。「伝える」業務にとどまる民間サービスもあります。交渉が必要なケースで民間を選ぶとミスマッチになる、ということです。交渉が要るなら労働組合か弁護士を選びましょう。
Q. モームリを使った人は、退職が無効になりますか?
A. 報道・容疑の段階であり、個別の影響は状況によります。不安な場合は、あらためて労働組合運営や弁護士対応のサービス、または専門家に相談すると安心です。
免責:本記事は2026年6月時点の公表情報・報道をもとにした一般的な解説であり、弁護士による監修・個別の法的助言ではありません。事件の事実認定や制度の詳細は変わる可能性があります。具体的な対応は、弁護士・労働基準監督署等の公式情報や専門家にご確認ください。

